メディア掲載情報
【読売新聞さんに掲載していただきました】2022年12月20日(火)読売新聞(阪神版)朝刊掲載
〜以下掲載記事です〜
●2022年12月20日火曜日 読売新聞(阪神版)朝刊に掲載●
脱サラ ワンちゃん撮影
愛犬専門のカメラマン 棚原憲悟さん48(川西市)
終身雇用が絶対的なシステムでなくなった今でも、脱サラして起業というのはハードルが高い。「犬のいい表情を撮りたい」。そんな思いが勝った。高校卒豪後、関西電力で働き続けてきたが、45歳の誕生日に退職、自宅に愛犬家のペットを専門に撮影する写真事務所を設立した。
原点は、約16年前に飼い始めたトイプードル。「少しずつ成長していき、しぐさがかわいくて仕方がない」と、一眼レフカメラを購入し、写真を撮り始めた。
会社に45歳以降は主体的に定年を決められる「選択定年制度」があるのを知り、「一度一人になって何かをしてみたい」。その時、思い浮かんだのが大好きな犬と写真だった。相談すると上司や同僚の反応は「大丈夫か」「もうちょっと冷静に考えたら」。それでも退職の半年前からフレックスタイムを利用して、夜間に写真専門学校に通うのを応援してくれた。妻(44)も「2人で働けばなんとかなるでしょ」と背中を押してくれた。
最初の仕事はネット広告を見た飼い主の依頼による公園での撮影だった。「お座り」しているポーズ写真を撮ろうとしたが、じっとしていない。そこで自由に動き回る姿を撮影した。「生き生きした表情をとらえてくれた。ありがとう」。飼い主に言葉をかけられ、やっていく自信につながった。
自宅の広めの物置を改装したスタジオを使うほか、最近は依頼を受け、トリミングサロン やペットショップに出向いており、スケジュールが埋まってきた。
飼い主と犬が一緒に旅行できるバスツアーや、水上スポーツ「スタンドアップパドルボード(SUP)」をしながらの撮影も実施、人気を集めている。約3年で2000匹以上を撮り、「なんとか軌道に乗った」と、今年6月には株式会社化も果たした。
関西電力時代のことを時折、思い出す。「利用者への電話対応で怒られることもあったが、人との接し方を学んだ。27年間のサラリーマン生活の土台の上に今のカメラマンの仕事がのっている」と感じる。
今後計画しているのは、キャンプ場を貸し切ってペットと思い切り遊べる宿泊イベントや、飛行機を使ってのツアー・・・・・・。「こんなサービスがあったら」。愛犬家の立場から考える時間が楽しい。
(高部真一)